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札幌地方裁判所 昭和63年(わ)983号 判決 1988年11月17日

(一)

本店所在地 札幌市中央区南五条西二三丁目二番七号

法人の名称

株式会社拓殖設計

代表者住居

札幌市中央区南八条西一七丁目三番一四号

八条シャトー桂和七〇三号

(登記簿上

札幌市中央区南五条西二三丁目二番七号)

代表者氏名

佐藤義昭

(二)

本店所在地 札幌市中央区南五条西二三丁目二番八号

法人の名称

拓豊開発株式会社

代表者住居

札幌市中央区南八条西一七丁目三番一四号

八条シャトー桂和七〇三号

(登記簿上

札幌市中央区南五条西二三丁目二番七号)

代表者氏名

佐藤義昭

(三)

本籍 札幌市豊平区西岡四条九丁目三四四番地四

住居

札幌市中央区南八条西一七丁目三番一四号

八条シャトー桂和七〇三号

会社役員

佐藤義昭

昭和二〇年八月二八日生

右三名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官北村篤及び弁護人金谷幸雄各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社拓殖設計を罰金一二〇〇万円に、被告人拓豊開発株式会社を罰金六〇〇万円に、被告人佐藤義昭を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人佐藤義昭に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

第一  被告人株式会社拓殖設計は、肩書地に本店を置き、測量・建設事業に関する設計等を目的とする資本金六〇〇万円の株式会社であり、被告人佐藤義昭は、同被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人佐藤義昭において、同被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、旅費・交通費を水増しし、架空・水増しの外注費を計上して仮名の簿外定期預金を設定するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ、

一  昭和五九年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同被告人会社の実際所得金額が四八六一万七三一六円であり、これに対する法人税額が一九九一万四三〇〇円であったにもかかわらず、昭和六〇年一月二五日、札幌市中央区北七条西二五丁目所在の所轄札幌西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一二七五万五八四二円で、これに対する法人税額が四三八万六一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限である同年二月二八日を徒過させ、もって不正の行為により同被告人会社の右事業年度の正規の法人税額とその申告税額との差額一五五二万八二〇〇円を免れ、

二  昭和六〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同被告人会社の実際所得金額が六四三九万六二一八円であり、これに対する法人税額が二六六一万〇三〇〇円であったにもかかわらず、昭和六一年二月一〇日、前記札幌西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六九二万四六四九円で、これに対する法人税額が一八五万七二〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限である同年二月二八日を徒過させ、もって不正の行為により同被告人会社の右事業年度の正規の法人税額とその申告税額との差額二四七五万三一〇〇円を免れ、

三  昭和六一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同被告人会社の実際所得金額が四〇五六万五〇四〇円であり、これに対する法人税額が一六一五万一一〇〇円であったにもかかわらず、昭和六二年一月一九日、前記札幌西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五四〇万二九四五円で、これに対する法人税額が一二四万五一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限である同年二月二八日を徒過させ、もって不正の行為により同被告人会社の右事業年度の正規の法人税額とその申告税額との差額一四九〇万六〇〇〇円を免れ、

第二  被告人拓豊開発株式会社は、肩書地に本店を置き、宅地造成・不動産売買等を目的とする資本金三〇〇万円の株式会社であり、被告人佐藤義昭は、同被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人佐藤義昭において、同被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空・水増しの外注費を計上して仮名の簿外定期預金を設定するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ、

一  昭和五九年四月一日から昭和六〇年三月三一日までの事業年度における同被告人会社の実際所得金額が一七三六万六九二一円であり、これに対する法人税額が八一九万九九〇〇円であったにもかかわらず、同年五月一日、所轄の前記札幌西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一一〇万一五一七円で、これに対する法人税額が二五万一八〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限である同月三一日を徒過させ、もって不正の行為により同被告人会社の右事業年度の正規の法人税額とその申告税額との差額七九四万八一〇〇円を免れ、

二  昭和六〇年四月一日から昭和六一年三月三一日までの事業年度における同被告人会社の実際所得金額が四五一四万九八三一円であり、これに対する法人税額が一八二一万四六〇〇円であったにもかかわらず、同年五月二三日、前記札幌西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五二五万九三四六円で、これに対する法人税額が一二七万九三〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限である同月三一日を徒過させ、もって不正の行為により同被告人会社の右事業年度の正規の法人税額とその申告税額との差額一六九三万五三〇〇円を免れ、

三  昭和六一年四月一日から昭和六二年三月三一日までの事業年度における同被告人会社の実際所得金額が一四一二万四三四〇円であり、これに対する法人税額が五一一万九六〇〇円であったにもかかわらず、同年五月二五日、前記札幌西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一七二万三九〇八円で、これに対する法人税額が五二万二一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限である同年六月一日を徒過させ、もって不正の行為により同被告人会社の右事業年度の法人税額とその申告税額との差額四五九万七五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人(被告人株式会社拓殖設計、同拓豊開発株式会社の各代表者)佐藤義昭の当公判廷における供述

一  被告人(右同)佐藤義昭の検察官に対する供述調書二通

一  佐藤守の検察官に対する供述調書二通

一  岡田武保の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  大蔵事務官作成の調査事績報告書

一  大蔵事務官作成の預金調査書

判示第一の各事実について

一  株式会社拓殖設計の登記簿謄本

一  札幌西税務署長作成の税の納付状況照会に対する回答書(記録証第一〇三号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(記録証第六号)

一  大蔵事務官作成の外注費調査書(記録証第一五号)、旅費交通費調査書、租税公課調査書(同第一七号)、受取利息調査書(同第一八号)、事業税認定損調査書(同第一九号)

一  押収してある法人税決議書綴一綴(昭和六三年押第一八五号の1)

判示第二の各事実について

一  拓豊開発株式会社の登記簿謄本

一  札幌西税務署長作成の税の納付状況照会に対する回答書(記録証第一〇七号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(記録証第七号)

一  大蔵事務官作成の売上高調査書、期首原材料棚卸調査書、期末原材料棚卸調査書、外注費調査書(記録証第三三号)、租税公課調査書(同第三四号)、雑費調査書、事業税認定損調査書(同第三九号)

一  押収してある法人税決議書綴一綴(昭和六三年押第一八五号の2)

判示第二の一の事実について

一  大蔵事務官作成の原材料仕入高調査書、雑収入調査書、支払利息調査書

判示第二の二の事実について

一  大蔵事務官作成の受取利息調査書(記録証第三六号)

(法令の適用)

被告人佐藤義昭の判示第一の一ないし三及び判示第二の一ないし三の各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の二の罪の刑に法定の加重をし、その刑期の範囲内で同被告人を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

次に、被告人佐藤義昭の各所為は、判示第一について被告人株式会社拓殖設計の代表者として、判示第二について被告人拓豊開発株式会社の代表者として、それぞれその業務に関してなされたものであるから、被告人株式会社拓殖設計には判示第一の各罪につき、被告人拓豊開発株式会社には判示第二の各罪につき、それぞれ法人税法一六四条一項により、同法一五九条一項の罰金刑を科し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項によりそれぞれ各罪所定の罰金額を合算し、その各金額の範囲内で、被告人株式会社拓殖設計を罰金一二〇〇万円に、被告人拓豊開発株式会社を罰金六〇〇万円にそれぞれ処することとする。

(求刑)

被告人佐藤義昭について 懲役一年六月

被告人株式会社拓殖設計について 罰金一六〇〇万円

被告人拓豊開発株式会社について 罰金八〇〇万円

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 嶋原文雄)

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